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- 日本高校ダンス部選手権 春の公式大会
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審査基準
協会のダンス部選手権ダンススタジアムにおける概念
私ども一般社団法人ストリートダンス協会は社会に出る準備段階である高校生の皆様へ現在の社会が一番求めているスキルであるコミュニケーション能力と適応能力をダンスを通じて養い立派な社会人となってほしいと考えております。又、卒業後も生涯スポーツとしてダンスを続けていってほしいと願っております。
春の公式大会の意義
一年生の目標となる大会を目指し設立した大会です。入部一年でどこまで成長したかを確認すると共にいかにチームワークが大切かを実感して頂きたいと考えております。よって協会では大会成績にはこだわらず、できれば一年生の全員参加で作品作りをに励んでほしいと願っております。単に踊るだけではなく、ストーリーや衣装・音楽など作品作りの過程を経験して頂きたいと思います。
春の公式大会における協会審査の趣旨
ダンスの演技は単に体を動かす事だけではありません。本大会はダンスの技術のみを競う大会ではなく、各学校のダンス演技=作品を競う戦いです。
ダンスにはさまざまな要素があり、音楽・衣装・演出・構成・振り付けなど多岐のジャンルの要素がバランス良く整って一つの作品になり人々を感動させます。協会主催の「ストリートダンス検定」は、個としての技術のみを評価する目的で実施されていますが、作品となれば、ダンスの技術的基礎の部分の上にその他、さまざまな要素が要求されると考えます。よってダンス技術のみが高くとも、他の評価が低ければ演技の総合評価は低くなる場合もあります。また、ビジュアル面での衣装やメイクにおいても、全員が同じ服に揃えていても、それが衣装となっていなければ、高い点数は望めません。単なるユニフォームではなく衣装の審査です。作品作りにおいての、音楽やその時代背景など演技のコンセプトと乖離するようでは高得点は望めません。これらの総合的評価が高い作品であるほど、多くの人々に感動を与え、ダンスのすばらしさを伝える作品だと考えております。
1つ目は、「高校生として、及び学校関係者様の秩序ある言動と行動が原則」(学生として)
選手を単に私的なダンスチームとは見ていません。「○○高等学校 ダンス部」と考えています。
その点が他のダンスコンテストと一番違う点です。協会が文部科学大臣賞を預かっている以上、予選会申込後、既に出場資格においての審査が始まっています。学校や部活においての不祥事での辞退や失格の判断もあります。大会当日も喫煙や不正が発覚した場合なども失格となります。また、協会が定めるさまざまな会場マナーや不正などにも減点&失格対象になる場合もございます。高校生及び学校関係者様の秩序ある姿勢が第一原則として問われ、 さまざまなマナー・ルール・不正など出場時間外及びステージ演技場所以外にも及びます。よって、このような中学生・高校生大会を数多く経験されている審査員の目線や判断も重要です。
2つ目は、「厳格なルールの厳守」(選手として)
大会があらかじめ定めているルールを満たしているか?などの判断が必要です。満たしていなければ減点&失格の対象となります。例えば:・エントリー時より人数を増やすことは出来ない・ステージからの飛び降り、客席への物の投げ入れ・規定時間に満たない、もしくは超える演技時間・ユニゾンが規定時間に満たない場合など大会出場要項を厳守して頂きます。審査員とは別に「keeper(キーパー)」
と呼ばれる監督者が違反が無いかをチェックし減点の判断を下します。
● ダンススタイル | オールジャンル |
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● 制限時間 | 1ステージ 1分30秒~2分 ※規定時間を越える、または満たない演技は減点または失格となる。 |
● チーム人数 | スモールクラス→2~12名 ビッグクラス→13名以上 |
● 規定 | * ダンスプログラムには、ユニゾン(合わせ)部分を40秒以上取り込む。 * 使用する備品(小道具)のセッティングは20秒以内で行う。 |
● 審査基準 |
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3つ目は、「バランスの取れた審査の追求」(協会の一番の責任)
ダンス演技は人が人を審査します。時計が結果を決める陸上やセンサーが結果を決めるフェンシングなどと違い、機械が自動的には判断しません。よって審査員の選定及びそのバランスが重要になります。ダンス競技の審査をダンサーや同じフィールドの人々だけで審査する事が最も望ましいかと言う点です。例えば、絵を審査するさいに、画家の人々だけで審査するのが正しいかと言う点です。美術館・オークションハウス・画商・専門誌記者・有識者・指導者・コレクターなど、絵に携わる幅広い人々からの評価があってこそ総合的審査になります。ダンサーだけの評価で審査を行うと偏ってしまうと考えます。
これは極端な例ではなく、この競技の文化会系&体育会系の2系統の性格的要素を踏まえなければなりません。よって協会では、エンターテイメント業界で常に何万ものオーディションに携わっておられる大手プロダクションの方や、そのタレントを扱うTV関係者など、ダンス業界でさまざまなシーンで幅広く活躍されている人々で審査員を擁立しています。また、ダンサーも現役でありながらもイベンター・パフォーマー・コリオグラファー・指導者と一人として同じ視点はありません。よって、ダンス経験者・未経験者と2つのグループではなく、さまざまな、ダンス業界に携わる人々を配置する事により、日本高校ダンス部選手権は厳正な精度の高いバランスの取れた審査を行うことが出来ます。
今後も一般社団法人ストリートダンス協会審判基準委員会は、審査のあるべき姿の探求に取り組んで参ります。
Q&A
ユニゾンの規定演技について
ダンス経験のある関係者様から、ユニゾンの規定はダンスの自由な作品作りの妨げになるのではないかと言うご質問です。
現在のルールでは演技時間120秒内の合計40秒の割合でユニゾンの規定を設定しております。これに満たない場合は減点となります。ユニゾンは演技者全員が同じ振りをする事(左右・前後対象・サークル型等可)ですが、高等学校のダンス部の作品を評価する場合、審査で一番重要な点は「チームワーク」です。部員の中のスター選手を中央に配して他の部員がバックで踊るのも一つの構成だと思いますが、部員全体のスキル・チームワーク・まとまりの部分も重要視しています。ユニゾンの美しさは練習量と比例します。いくら個人個人のスキルが高くとも練習量が少なければ美しいユニゾンにはなりません。またユニゾンでのフォーメーション・構成などの工夫も十分に審査の対象となります。ユニゾン演技の制作段階においては、その練習中、部員同士が意見を交わしたり、時には喧嘩したり、仲直りしたりと色々な体験をされると思います。高校生の皆様には団体競技の部活動を通じて、部員全員とのチームワーク作りをすることも社会に出る準備段階の「コミュニケーション能力」として大切だと考え、ユニゾン規定の設定をしております。
大会でのビデオ、写真の撮影を禁止し減点の対象にしている理由
1.著作権・肖像権の問題があります。
最近は主催者に無断で、このようなイベントを撮影し、インターネットにアップロードして著作権違反に問われるケースが増えています。この問題は、大きなイベントに限らず小さな発表会でも起こりうる問題になっています。特にビデオ撮影では楽曲も録音されますので、楽曲の著作権も問題になってきます。個人で楽しむだけだからと言う人もいると思いますが、撮影者本人にその意図ががなくても、インターネットによる画像や動画の流出事故が後を絶ちません。また、最初からインターネットにアップロードするつもりで撮影をしている人と区別をつける術が無い以上、撮影を許可してしまうと収拾がつかなくなり、トラブルの元となってしまいます。
2.いかがわしい目的で撮影された写真や動画を売買されるというトラブルも懸念されます。
写真や動画を改竄していかがわしい目的に使用されることは避けねばなりません。児童ポルノ禁止法の改正により、未成年者の写真や動画といったものの取扱いには、非常に神経を使わなければならない問題になっています。撮影禁止はそういったトラブルに巻き込まれるようなことにならないように選手を守る措置です。
以上のような理由から、当大会のビデオや写真の撮影は禁止しております。
演技中の応援禁止について
演技中、ワイワイやった方が楽しいのに応援を禁止するのは、盛り上がらないのではないかと言うご意見です。
本大会は単なるダンスイベントではありません。各学校のダンス部の作品の競技会です。よって審査において応援が影響されることは、あってはならないと思います。音楽も審査の対象なので、各審査員には音楽を聴くことにも集中してもらわなくてはなりません。 会場がワイワイガヤガヤでは、その審査に影響されます。しかし、各学校の関係者の皆様が応援したくなる御気持ちや選手のモチベーションUPも理解できます。よって、演技の前後での応援をお願いしております。
公序良俗に反する作品とは
ボディーペインティングは入れ墨を推奨する事になるのではないか?と言う御質問です。
公序良俗に反する要素とは、主に楽曲と衣装の面です。楽曲では暴力・わいせつ・差別などを助長する歌詞が入っている楽曲の使用は不可です。衣装の面でも過度な露出は禁止です。
この大会に挑んでいる生徒さんは単にファッションでボディーペインティングを楽しんでいるのではありません。または、宗教上の理由や部族といった理由でもありません。自身のダンスのディティールにまでこだわり作品の完成度を高めています。アフロヘアーやブロンド色のかつら、奇抜なお化粧や衣装なども作品ごとに違った必要性によって工夫を凝らし演出しています。一般社団法人ストリートダンス協会は、入れ墨の是非について論じる立場にはありません。よって特に協会側がボディーペインティングや入れ墨を推奨する理由もありません。今後、法律でボディーペインティングや入れ墨が規制されたり世論の高まりが禁止の方向へ進めば勿論それに従いますが、現時点でこの様な一部の懸念の為に大半の真剣にダンスに取り組んでいる全国の学生や指導者の作品の自由度や完成度を妨げるような事はしたくないと考えております。
ただし、差別的な演出や衣装などは禁止します。反社会的組織(暴力団など)を連想させる攻撃的なものや人種差別を連想させるようなものは減点とさせていただきますので気を付けてください。
昨今では人種差別問題は特にデリケートな扱いになっており、特定の人種を笑いものにすると言ったものは欧米ではタブーとなっています。
ミンストレル・ショーと言う黒塗りメイクの音楽番組がアメリカにありましたが、これも人種差別を助長するものとして無くなりました。
またナチスを連想させるハーケンクロイツ、又は鍵十字と呼ばれるマークも海外ではタブー視されています。ユダヤ人差別の歴史から、海外では差別主義者のマークとして見られています。これらは日本人が見て良い悪いの問題ではありません。
また演技する人間に差別の意図があったかどうかではなく、差別される側がどう思うかが重要です。観光立国を目指すこの日本にもたくさんの外国人が訪れ、また住んでおられます。そして二世や三世もおられます。高校生として、そうした欧米の人種差別のタブーを知ってほしいと思います。
TVにてステージでの演技の一部分だけを見れば、派手さばかりが強調されて、生徒さんや指導者の演出も単にファッションだと写ったのかも知れませんが、我々協会が知りえるダンス部は礼儀正しく、他人を思いやり、創意工夫し、練習熱心で何事にも一生懸命な素晴らしい生徒さんたちです。卒業後、厳しい部活動で養われた正しい判断力で責任感ある人間として社会に貢献すると信じております。